Autogluonのモデルを紹介するぜ

AutoGluon TimeSeries Model Arsenal

AutoGluon時系列モデル大解剖

個性豊かな予測のプロフェッショナルたち

AutoGluon TimeSeriesは、単一の万能モデルに頼るのではなく、それぞれ異なる得意分野を持つ多様なモデルたちをオーケストラのように指揮します。この「モデルのアンサンブル」こそが、AutoGluonが高精度と堅牢性を両立できる最大の理由です。ここでは、そのオーケストラを構成する主要な楽団員(モデル)たちを、役割ごとに紹介します。

Naive 🔗

前の期の値をそのまま次の期の予測値とする、最も単純なモデル。

役割と特徴

「予測モデルが、少なくとも『明日の値は今日と同じ』という予測よりはマシか?」という、モデルの存在価値を問うための重要なベンチマークとなります。

SeasonalNaive 🔗

前の「季節」の値を次の期の予測値とします(例:今日の予測には昨日の値ではなく、1週間前の同じ曜日の値を使う)。

役割と特徴

電力価格のように強い週周期性があるデータでは、驚くほど良いベースラインとなり得ます。複雑なモデルがこの単純なロジックに勝てているかを確認する指標になります。

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時系列分析の古典:統計モデル

ETS 🔗

時系列を「誤差」「トレンド(傾向)」「季節性」の3要素に分解して予測します。

役割と特徴

データの背後にある構造(上昇傾向か、季節的な波があるかなど)を直感的に理解できます。多くの基本的な時系列パターンをうまく捉えることができます。

ARIMA 🔗

データの自己相関と過去の誤差を利用して未来を予測する、古典的で非常に強力なモデル。

役割と特徴

データの持つ時間的な依存関係を厳密にモデル化しようと試みます。うまくハマれば非常に高い精度を出しますが、計算コストが高く、パラメータ調整が難しいという弱点も持ちます。

Theta 🔗

データを2本の線に分解し、それぞれを別々に予測して結合するユニークな手法。

役割と特徴

特に、はっきりとしたトレンドを持つデータに対して、過学習しにくく安定した予測を出す傾向があります。M3コンペティションで高い性能を示し、その実力が証明されています。

DynamicOptimizedTheta 🔗

Thetaモデルを拡張し、季節性や減衰パラメータを自動で最適化するようにしたもの。

役割と特徴

元のThetaモデルよりも多様なパターンのデータに対応できるようになり、AutoMLの武器としてさらに強力になっています。

🎚️

特徴量活用のスペシャリスト:Tabularモデル

DirectTabular 🔗

予測したい未来の各時点に対して、個別の予測モデルを作るか、多出力モデルで直接全時点を予測します。

役割と特徴

長期予測での安定性が強み。1ステップずつ予測するのではなく、目標時点を直接予測するため、長期予測でも誤差が蓄積しにくいという絶大なメリットがあります。

RecursiveTabular 🔗

まず1ステップ先の値を予測し、その予測値を次のステップの入力特徴量として再利用しながら、再帰的に予測を繰り返していきます。

役割と特徴

短期予測の精度と柔軟性が強み。直近の情報をフル活用して次のステップを予測するため、短期的な変動を捉えるのが得意ですが、長期予測では誤差が蓄積するリスクがあります。

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新時代の主役:ディープラーニングモデル

DeepAR 🔗

Amazonが開発した、RNNベースの自己回帰モデル。確率的予測を出力できるのが特徴。

役割と特徴

「明日の価格は50円」という点予測だけでなく、「80%の確率で45円から55円の間になる」といった、リスク管理に不可欠な不確実性の情報を提供できます。

PatchTST 🔗

時系列を小さな「パッチ」に分割し、それを画像認識で有名なTransformerモデルで処理する、比較的新しいアプローチ。

役割と特徴

Transformerの特性を活かし、非常に長い期間にわたるパターン(例:数ヶ月前の出来事が今日の価格に与える影響など)を捉えるのが得意です。

TiDE 🔗

複雑なAttention機構を使わず、シンプルな線形層(MLP)だけで構成された軽量なDLモデル。

役割と特徴

TFTのような巨大モデルに匹敵する精度を、はるかに少ない計算コストと時間で達成することが報告されており、非常に実用的な選択肢です。

TemporalFusionTransformer (TFT) 🔗

Googleが開発した、Attention機構をフル活用し、解釈可能性も備えた全部入りの超高性能モデル。

役割と特徴

現行最強クラスの性能と解釈性を両立した究極のモデルの一つ。しかし、その究極ゆえの繊細さが、環境依存のエラーを引き起こす原因ともなります。

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AI時代の巨人:基盤モデル

Chronos 🔗

Amazonが開発した、数億のパラメータを持つ言語モデルベースの時系列基盤モデル。

役割と特徴

時系列の”ChatGPT”。大量のデータから「時間とは何か」という普遍的なパターンを学習済み。そのため、ゼロショット(追加学習なし)でもある程度の予測ができてしまいます。

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最強の司令塔:アンサンブルモデル

WeightedEnsemble 🔗

個々のモデルの検証スコアに基づいて、優秀なモデルの予測には大きな重みを、そうでないモデルには小さな重みを与えて足し合わせる。

役割と特徴

集合知の結晶。異なるアプローチを持つ複数のモデルを組み合わせることで、個々のモデルの弱点を互いに補い合い、より安定的で高精度な予測を実現します。リーダーボードで常にトップに君臨するのは、このアンサンブルの力によるものです。

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